日別アーカイブ: 2018年11月16日

大人の生徒さんIさん(70代・男性)の話です。

当教室の生徒さんなら
「あのおじちゃんのことか」と、見当がつく方が多いと思います。

そう、あのおじちゃんの話です。

Iさんはピアノを始められて、2年と半年ほど経ちます。

今年の夏の発表会で、初めて大きな舞台に挑戦されました。

曲は「美しく青きドナウ」

発表会イメージ写真

直前のレッスンでも、弾き合い会でも、良い仕上がりだったので、本番もきっと大丈夫だろうと思っていたのですが・・・

舞台上で頭が真っ白になってしまわれたようで、、、

あんなに上手に弾いておられたのに、その実力の半分も出せないまんま、終わってしまいました(>_<)

ショックを受けて
「もうピアノ辞めます」とか「発表会は懲り懲りです」そう言われるのでは?と私は心配していました。

ところが・・・

発表会明けのレッスンで

Iさん「発表会での出来は本当に不本意でした。このまま終わるのは悔しいですし、次のクリスマス会で、もう一度同じ曲に挑戦してもいいですか?」

私「気分を変えて、他の曲を弾かれてもいいのでは?」

Iさん「大丈夫です。もう一度、この曲に取り組みたいです。」

私(予想外の展開に驚き・・・)

私「もうピアノが嫌になりました、とか言われるのではないかと、心配していました。」

Iさん「私は他の生徒さんより歳は取っていますが、ピアノの経験は他の子どもさんと同じ2年生くらいです。そう考えたら、あの失敗も良い経験です。」

私「すごい前向きですね。さすがです

Iさん「ただ、せっかくの先生の発表会に、あの出来は申し訳なかったと、そこは反省しています。」

私「そんなことは、一切思わないでください。」

このような会話をした記憶があります。

Iさんの大人な受け止め方と、ポジティブ思考に、さすがだなぁと脱帽でした

ピアノを長く続けていると、舞台上で頭が真っ白になるという経験は、多くの人が一度は経験するのではないかと思います。

そういう経験をして、人は初めて考えるようになります。


私も若い頃の発表会で、左手の音を忘れてしまい、数小節を右手だけでつないだ、という経験があります。

なーんだ、そのくらいのことか!と思われるかもしれませんが・・・

弾いている本人は背筋も凍る思いです

そういう経験を何度かしてから、私は本番前は周到に準備(練習)をするように、変わったと思います。

なので「失敗する」という経験も貴重だし、生徒さんにはそこから学んでほしいと常々思っています。

話をIさんに戻して・・・

そんなわけで、Iさんのクリスマス会での挑戦
クリスマス会会場写真1

2度目の「美しく青きドナウ」

どうなるでしょうか?

皆さん、応援してあげてくださいね