先日のレッスンでのこと。
ある生徒さんが「じいじのお葬式があったから、今週はあんまり練習ができなかった」と話してきました。
「最近はコロナで全然会えなかった」
「肝臓が悪かったみたい・・・」
ポツリポツリと話してくれました。
そして、「お葬式で発表会の曲をじいじに弾いて聞かせてあげたよ。いつもうまく弾けないこの部分も、その時は上手に弾けたよ!」と嬉しそうに話してくれました。
「おじいちゃん、天国に旅立つ前に〇〇ちゃんのピアノを聞けて、喜ばれただろうね。〇〇ちゃんがうまく演奏できたのは、きっとじいじを想って、心を込めてピアノを弾いたからかもしれないね」と話しました。
この記事の題名「ピアノを習う目的」について。
基本的に目的は人それぞれだと思います。
・憧れの曲が弾けるようになりたい。
・指を動かすと、頭がよくなると聞いているから。
・コンクールで賞を取ってほしい。
・自分に自信をつけてあげたい。
・音楽が好きになってほしいから。
色々ありますよね?
でもそのずっと先にある共通の目的としては、「自分や周りの人を幸せにするためにピアノを弾く」のではないかと思います。
私の話になりますが・・・
今から8年前に父が亡くなりました。
その後、数年は精神的にかなり参っていたと思います。
その時に私を助けてくれたものの一つが、音楽でありピアノでした。
当時は会社員をしていましたので、今ほどピアノメインの生活ではなかったのですが、それでもピアノの音色の美しさ、音楽のもつパワーに、どれほど救われたことでしょう。
そんな理由から、私はお預かりした生徒さんには、成長期の荒波、受験等を乗り越えて、ある程度まではピアノを続けていただきたいと願っているわけです。
ピアノはお家での練習が必要な、少し面倒な習い事かもしれません。でもコツコツと続けていれば、いつかきっと自分も、それから周りの人もその演奏に心救われる日が来ると思います。
今回、おじいちゃんのお葬式でピアノを弾いた生徒さん。
天国へ旅立つおじいちゃん、演奏した生徒さん自身、それから参列していた方々の心に届く演奏ができたのではないでしょうか。ピアノを習う目的って、そういうことだと思うのです。